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【詩】知らない歌

2010/08/24

黒い紙 一枚
そこに苦痛を書いてみた
黒い万年筆で沢山 沢山 書いてみた

白い紙 一枚
そこに欲しいものを書いてみた
あんまり無いけど、手に入らないものばかり
白い鉛筆で書いてみた

そんな事ばかり繰り返していた

すれ違いざまに君が落とした
楽譜を何度読んでも
何の曲だか分からない
返そうにも君の名前すら知らない

鎖と翼は二つで一つ
君が落とした楽譜を弾いてみた
奏でた旋律は見たことの無い色で
静かに周りを満たした

U字磁石で遊んでいた頃を思い出した
何もかもが不思議に満ちていて
あの頃から変わったのは
色んな事を知り尽くした事
あの頃から変わらないのは
川辺に咲く赤い好きな花

うん、教えてくれたんだね
僕はまだ歩ける
もう、紙に書く事は無い
君に伝えに行くよ

君が楽譜を落とした場所で
もし逢えたら「ありがとう」って言うつもりなんだ

【詩】重ねた手の平

2010/08/12

あの日
貴方が俯いたままで何かを発するのを
待ってる事しかできなかった私
私 そんなでも 幸せだったんだよ――

初めて貴方に出会った日
眩しいまでの笑顔に
私の中の何かが浄化される気がしたんだ

二人で夜の海に出かけた時
数時間後の朝なんて知る由も無く
霧がかった朝 他に誰も居ないかのような静かなドライブ

疲れ果てていつの間にか二人して寝てしまった休日
ふと目が覚めた時 目の前には貴方の寝顔があって
”嗚呼 こういう事なんだな”って
私は 私は――

二人の手を重ねてみて
貴方の手はとっても大きくて
私の手を貴方の両手が包み込んで隠してしまった時
私 何故だか泣いてしまったね

囲い猫 籠の外に 迷い猫

ずっと私の中にあった違和感の意味を
初めて知った朝
太陽の位置すらも分からなくなった

上手く騙せない貴方 捨てきれない私

遠回りして 嘘みたいに沢山の涙を流して
容赦無い冬の寒さに消えそうになった
私の中の最後の焔

整理していた携帯のアルバムから出てきた貴方の笑顔
「きっと 幾つの輪廻を重ねても出会えない」
初めて流す涙の意味は
あっけなく臨海公園のベンチで隣に座った貴方の笑顔が教えてくれたね

今 再び重ねた二人の手
前と違うのはお揃いのシルバーリング
これからは二人
「おやすみ」と「おはよう」を共有していくんだね
同じ鍵を重ねて笑う二人
今日も明日も「ありがとう」

【詩】Free sea

2010/08/03

君はハリネズミみたいに
全身の毛を尖らせて
ご丁寧に切っ先を綺麗に磨いて
そんな君に一つ問おう
「前は見えてるの?」

壊れたおもちゃを一体いつから
躊躇無く捨てられるようになったの?
「空が遠いなぁ」なんて
自分が宙を飛んでいる事を一体いつから
忘れてしまったのかな?

そんなに地面ばかり見つめて
「何を落としちゃったんだい?」
「何を落としたのかさえ忘れちゃったんだよね」
「成程ね、それでそこは君が歩いた事のある道なのかな?」
「ううん、ここもきっと知らない道」
「ところで、ソレは何?」
「?」
「君って何?」
「私?・・・は、、私、だよ?」
「それで十分じゃないかな?足りないかな?
君の探していたものってさ、きっと君には見えないと思うよ」
「なんで?」
「君は君の目を見れるのかな?」

そういう事だと思うよ
大丈夫、君に君は見えないけれど、私には君が見えてるからさ。
私だって私は見えないけれど、君に見えてるだけでとってもあったかい気持ちになるんだ

約束しよう
あの橋を一緒に渡ったら、君は右の道を行くんだ
私は左の道を行くから
君は私を裏切ってくれ
私も君を裏切るから
どっちに行くかなんてどうだってイイんだ
その代わり、あの橋を渡ってる間
君の好きなものや嫌いなものの話をありったけ聞きたいな

【詩】しるし

2010/07/27

其の問い掛けに どう答えようか

君の背負った痛みが
結晶となって降り注ぐ茨の道に
差し伸べる手の方角が
私には分からない

何を忘れたら、得られるのか
そして、失うのか
きっと敵う筈も無く
だけど抗う事しか知らない私達

この非力さが恐らくは
そのものに働く解なのだろう

砕け散った夢を
精一杯の誠実さで繕ってみても
翼にするには足りなくて
靴にするには脆過ぎて

そうして気づいたのは
ちっぽけな自身と
愛するほどにすり減らす
「時間」

雪の振る音が聴こえる
波のぶつかる音が聴こえる
星の壊れる音が 君の心音が
聴こえるよ

私は歩くよ 君の温度を感じながら
たとえ空が光を失っても
私には翼も無い 靴も無いけれど
それを世界が嗤っても
これまでの道も この先の道も
何も無いかもしれないけれど
だから、私は歩くよ

君は 何処へ行きたい?

【詩】チェイン

2010/06/01

潤いの無い君の煙草を吸う指が
喝采の降り注ぐ頭上へと掲げられた
眩しそうに陽光を指で遮って
不意に思い出した様に
聴いたことのある昔の歌を歌い出したね

スコールに打たれながら
確かに君は笑っていた
路地に咲いた一輪の花の
終わりの話を君が教えてくれた

寒がりの君の白い肌が薄く汗ばんで
私の淡い期待は焔へと変わる
向こう岸の島の形はどんなだったか
海の色すらもどんなだったか
きっと私は思い出す事は無いのだろう

余興が過ぎて 肌寒さが心地良い

蒼き月より舞い降りた二つきりの魂
交錯する輪廻 不完全な灯火
其処へ浸透する速度で
二つは”同じ”を忘れた

空の青さが二人には怖かった
逃げ込んだ夜には必ず朝が来るなんて
乾いた笑顔が宙を舞った

そんな昔を忘れないで居よう
あれから幾つもの優しさを知って
幾つもの抱擁と笑顔を知って
繋いだ手が温かさで満ちる

あの樹が教えてくれたこの星の終わりの話
だから進むのだと
がむしゃらに ひたむきに 進めるのだと
今 手作りのコンパスが繋ぐ未来へ

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【詩】その道を行け

2010/05/16

俯いてばかりのあの頃
見上げた蒼空に見つけた白い月
寄せては返すさざ波に
深い愛を感じたよ

其処に辿り着く為の術なら
幾つも幾つも試したよ
君のシルエットが
美しく見えたあの日から

遠く 聞こえない筈の声が
私には 聞こえたんだ

“大丈夫”
其れを正解とすれば何が得られる?
“現実より救済を 救済より真実を”
そんな戯言が何になる?

刻むビートに煮えたぎる体液
生死すらも両手に握り締め
素足に感じる温度と痛さが
四肢を大空と繋ぎ合わせる

溢れる心と豊潤な世界
その魅惑を糧に歩み出すんだ
慈愛の楔は取り払え
差し出す手が多くを与える

夕立が私の足跡を消したとして
元より帰る場所など無い
それが希望なんだ

大切なものを大切に
不要なものも大切に
いずれ全ては消えてゆくから
心置きなく 前へ 前へ

ほら 笑ってごらん?

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【詩】嘘

2010/04/12

眠れなくて仰いだ空
君がくれた指輪を眺めて
確かに在った温もりを忘れないように
大切に紡いでゆく

反逆者達が昨日を求めて
明日を焼き尽くそうとする
共に酒宴に語り合った夜明けが何故か
忠実に焦燥をかたどってゆく

朝靄を突っ切って走った
終わらない二人きりのドライブ
出逢った夏がもうすぐ来るね
あどけない顔で笑うから嘘がつけないよ

捨てられなかった
お揃いのマグカップ
使う事なんて一度も無かったけれど
それで良かったんだよね

恋の盲目の信者になんて
なれないしなりたくなくて
強がりの君が唯一泣いた夜が何時か
曖昧な現実を照らしてゆく

閉めたカーテンが時間を奪って
静かな二人きりの鑑賞会
知らなかったのは君のアリバイ
不意にキスなんてするから嘘が見抜けない

髪を 切ったんだね
聞こえないように呟いた
無言で微笑む君の視線の先には・・・

寝付けないまま朝が来る
そんな毎日が眼前に横たわる
寂しかったんだね
今になって気づいたんだ
嘘をついていたのは私の方だったね

送れないでたまったメールを消して
明日 アナタに会いに行きます

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【詩】三連符に禊

2010/03/19

そんなに清廉なものではないよと
君が下した判断は誰の為のものだった?

その空白の糧として凍てついた心の雫が
静かに光り出す
創世の樹が乾いた葉で奏でる音を
指折り数えた

怖かった
そっと指が触れるだけで
それを終わりと思わないと
自分を保って居られなかった

君が語る空の色がとても不自然で
君が其れを知らないのだと分かった
そんな嘘をつかなくても
ずっと傍に居るつもりだったのに・・・

僕が作る夕食を
いつも残さず食べるんだね
好き嫌いとか無いのかな?
決まった時間に
いつものおやすみのキス
本当に寝てるのかな?

明日はきっと
いつもの話題に事欠いて
すれ違いの一つ二つ
君はそれでも笑ってくれるんだろうな

ジグザグになぞった それでも平行線
真理故に羽ばたける それが事実
そうだよ 二人の儀式
祈りの鳥達が燃え上がる
三連符の禊

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【詩】眠り姫

2010/03/02

パチンと弾けた シャボン玉
そんな世界の始まり

君の髪をすいた指の感触
今でも残っているよ

狂い咲く曼珠沙華を肴に
テキーラを一気に飲み干した

「消えたい」と号泣する君を
ただ抱き締める事しか出来なくて

崩れ落ちる肩に手をかけて
ただ謝る事しか出来なくて「ごめんね」

四弦を弾く指の在処を探して
終わらない悪夢を彷徨い続ける

バニラの様に気だるい声を
私の腰にまとわりつかせて眠る
ぬるま湯のこの部屋を出られなくて
朝に怯えて過ごすのは終わらせて
あどけない声で私を誘わないで

月の華揺れる
遠ざかる風の声
もう 何も 聞こえない

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【詩】贖罪の朝

2010/01/23

例えば何かに心溶けるまでに
奪われる瞬間が其れだとして

弱ってゆく君の握力に
愛おしさを覚えても
朧気に霞みゆく視界に
冷静さは彼方へ遠ざかってしまうよ

赤くて甘い君の
滴り落ちる血を掬ってみても
注ぎ込む口が何処にも見当たらないんだ

例えば月夜に咲かせた愛欲が
穢れなき切望と歌う事実だとして

息も絶え絶えな君の
弦を奏でる指が途絶えた時
焼け爛れた夕紅に
堕ちゆく定めが知られずの理を破った

白くて薄い君の
背中にナイフを突き立てた朝が
前触れも無く乾からびた宙の終わりを告げた

この嗚咽を止めて
愛しているよと呟いて
その声だけを忘れずに生きてゆくから

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